ダンガンロンパ感想 無印編
おすすめされてダンガンロンパをプレイした。
今回買ったのは画像の通りのトリロジーパックであり「ダンガンロンパ」と「スーパーダンガンロンパ2」、「ニューダンガンロンパV3」のすべてがプレイできるものだ。
3000円もしないで買えたのでコスパの面ではとても満足がいった。
この記事はその中でも「ダンガンロンパ」(無印と呼ぶが呼び方がそれで正しいかは不明)についての感想文だ。
この感想文(2と3も書く)おすすめしてくれた人に向けて書くので、ほとんどそれ以外の人の目に入ることは無いと思うが、一応ネタバレ満載であると忠告をしておく。
全体の感想
この作品は超高校級の才能をもった希望ヶ峰学園の生徒たちが、お互いを疑い合うコロシアイゲームに巻き込まれるいわば「デスゲームもの」だ。
「デスゲームもの」は大抵理不尽なデスゲームに主人公たちが巻き込まれていく体を取っている。
例えば『神様の言うとおり』は前触れもなしに急にゲームが始まり、詳しいルールも説明されない。
例えば『バトルロワイアル』ルール説明はあるものの極限状態に放りこまれた挙句、武器を渡される。
例えば『今際の国のアリス』は突如知らない世界で十分に説明されないげえむをくりあしないと死んでしまう状況に追い込まれる。
そう理不尽なのだ。
だがコロシアイゲームはいやに平等ではないだろうか。
モノクマが「コロシアイゲームをするよ」と宣言しある程度の動機こそ与えるものの、ルールは事細かに説明されているしルールを破りそうになったらちゃんと忠告をする。
おそらくだが事実として動機をあたえた上でもコロシアイが起こらなかったら起こらなかったで生徒側に目立ったペナルティがあるわけではない。
シロもクロも平等に情報を渡され、生きていく分の食料も寝床も完備。
こんなに巻き込まれる側にやさしいデスゲームが今まであっただろうか。
もちろん生徒側にとっては理不尽極まりない状況だろうが、事実として自分たちで閉じ込められているわけだから彼らの感じる理不尽の一端は自分たちで起こしている。
これも当然平等だ。
さてこの平等さが何をもたらすのか。
まず注目したいのは生存がほとんど担保されている点。
ルールを知ればわかる通り、何もしなければ生きれるし殺しを行うのはか~~~~~~~~~~~~~~~~~なりリスクが高い行動だ。
つまり何日かは(ある程度)平穏であるし、なんならそこにはかれらの日常が見え隠れする。ただの同級生のような関わり方となってくる。
ただしそこはさすがの(非)日常、急に襲い掛かる死と互いを疑い合う命がけのゲームはかつて確かに存在していた日常をひっくり返す。
この緩急こそがゲームの平等性による副産物だ。
そして私たちを楽しませるエッセンスとなる。
もう一つ注目すべきはコロシアイに至る動機。
上記のようにこの世界では何もしなければ生きられる。
つまりコロシアイを起こす動機は「他人を差し置いてでも生きてここから出たい」の一つなのだ。
今まで殺人に関わってこなかったような人たちが(とんでもない殺人鬼がいたけど)、どのようにして殺人に及んだのか、動機が浅かろうが深かろうが「殺してかつ投票されない」という条件をどう潜り抜けようとしたのかというドラマがそこに詰まっている。
「死にたくない」ではなく「生きてここから出たい」という動機は各キャラクターの物語に言葉一つだけでは表せない深みを与えるのだ。
ダンガンロンパはデスゲームを媒介としたヒューマンドラマなのだとそう思った。
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ここからはチャプターごとの感想。
チャプター1 ~イキキル~
被害者:舞園さやか クロ:桑田怜恩
チュートリアルですよ~みたいな事件。
とはいえ「今作品では正ヒロインっぽい女も躊躇なく殺します。」としょっぱなから宣言する大胆さ。嫌いじゃないよ。
謎の難易度事態はめちゃくちゃ低い。
何も考えてない馬鹿でもガイド通りに進めれば犯人はわかるしなんならダイイングメッセージという補助輪付き。
その補助輪も舞園というキャラに深みを与えさせるエッセンスになるという最初のわりに抜け目のない事件だった。
お仕置きはショッキングだったが桑田君にあの時点で愛着湧いた人少ないだろうからね…(小声)
それにしても僕は舞園とかいう女は嫌いだ。
謎解きをするためにゲーム買ってるのに何を勝手にギャルゲ―を始めているんだと。
苗木も調子に乗る始末だし。
イライラしていたのも罠にはまったみたいだったからなおさらムカつく。
犯人がすぐにわかって「なんだこのゲーム簡単じゃんw」と思ってた僕は、もうスパイクチュンソフトの掌の上だとこの事件が終わったころにはなんとなく悟っていた。
チャプター2 ~週刊少年ゼツボウマガジン~
被害者:不二咲千尋 クロ:大和田紋土
急に難易度が上がった怪しさ満点ウザナルシストメガネこと十神が私利私欲でめちゃくちゃ荒らした事件。
コロシアイゲームのルール説明を聞けばまず避けるであろう、ド派手な証拠残しから始まり性別のミスリード二重人格のトリックといったミステリーっぽさをふんだんに詰め込まれていて楽しかった。
ふたを開けてみれば”強い”大和田の心の弱さが招いた一時の衝動によって起こった非常に短絡的な動機によるもので、最悪な状況でも強く生きようとした”弱い”不二咲との対比が美しい。
だからこそスカしボンボンこと十神の奇行が非常に目立った。ほんとに何なんだこいつ。
ちなみに不二咲ちゃんが不二咲くんであったことは事件調べるまで予想してなかったです。CVも男性だし少し発想を飛ばせば気づけるところだったなあ。
ちゃんでもくんでも一向にかまわないけどね!!!
あと大和田バターのインパクトがすごかったので検索したら結構有名だった。みんなのトラウマみたいなタグ付けもされててほへーと思った。それだけ。
チャプター3 ~新世紀銀河伝説再び!装甲勇者よ大地に立て!~
被害者:石丸清多夏、山田一二三 クロ:セレスティア・ルーデンベルク
ここにきて犯人が明確な勝算を以て起こした事件が勃発。
顔の見えない容疑者と移動する死体、アリバイがどこまで成立するかわからない中容疑者が絞りにくく下手したら迷宮入りの事件だったように思える。
山田のミスがなければね…。
やたら凝った着ぐるみを作ってしまった。証拠を部屋に残しまくった。メガネに付いた血を拭きとってしまったなどなど、セレスが忠告していたのにも関わらず凡ミスを繰り返した山田のおかげ(せい?)でこの事件は解決できたと言っていい。
この事件の注目ポイントは、モノクマから与えられた動機が一見カスであったのにも関わらず事件が起きたということ。
当然セレスはそれに乗せられたわけだし、なんなら同情の余地もない欲にまみれた動機であった。
僕らにとってはしょうもないような理由でも殺人は起こりうるという犯罪心理の奥深さを感じさせるような事件だった。
石丸はいいやつだったね…一番狂っちゃってたけど…
チャプター4 ~オール・オール・アポロジーズ~
被害者:大神さくら クロ:大神さくら
自殺というどんでん返し。
コロシアイゲームなんだから殺人でしょというミスリードを誘う素晴らしい構成。
一人だけ世界観が違うさくらちゃんの死に様は、あしたのジョーのパロディそのものでありネタ化してしまっておりスパイクチュンソフトの愛情と悪意を感じた。
2でもラオウのパロディやらされてるし、このキャラは飲み会の席で考えられたのだろう。
最強キャラは早めに退場させた方が良いともいうし、盛り上がって最強にしすぎてしまったのだろう
この事件の肝は、灰になっちまったさくらちゃんを見ればわかる通りクラスメイトがまた殺されてしまったというサスペンス性ではなく、なぜさくらちゃんが死を選んだのかというのを事件と朝比奈の証言を通して理解し生存者を団結させるところにあった。
悪い言い方をすればお寒い展開ではあるが、この人間ドラマこそダンガンロンパの醍醐味と言っていいだろう。
余談ですが、私が最も印象に残ってるセリフがここの学級裁判でのセリフでした。
『オーガちんを、殴打ちん!!』
チャプター5 ~疾走する青春の絶望ジャンクフード~
被害者:??? クロ:苗木誠
こっからは主人公たちのターン!
殺人と学級裁判の一辺倒で物語を進めようとするダンガンロンパじゃないぜ~!!
どこか釈然としないまま裁判が続き、事実とは反して苗木がクロに!?私たち一体どうなっちゃうの~????
シャキーン!オルターエゴ参戦!!!お仕置きマシンを止めるよ!!!!!!
へっ
なかなかアツいじゃねえか
サスペンスを求めていた人は「こうじゃないだろ」と思うだろうが残念だったなこれはただのサスペンスじゃないんだと、製作側がプレイヤーたちの裏をかきたくて仕方ない気持ちが伝わってくる。
こっからチャプター6にかけて行われるきわめてヒロイックな展開は新しいと言わざるを得ない。
チャプター6 ~超高校級の不運が超高校級の殺人と超高校級の処刑と超高校級の絶望を引き寄せたとは?~
被害者:戦場むくろ クロ:江ノ島盾子
クライマックス!
学級裁判で最後の殺人と世界と主謀者の矛盾を暴くムネアツ展開ッッ!!
俺は最初っからあのギャル怪しいとにらんでました。
まさか双子だとは思わなかったけどね。
シリーズを3つともやって思ったことではあるのだが、この後半特有のサスペンス要素をほぼ排除した『希望vs絶望』のごり押し展開、急に理論がなくなってていい。
だから構成とか展開との感想などたらたら述べず感じたことをそのまま書くのがきっと正解なのだッッ!!!!!
………
「地下から戻ってくるとき、霧切さんを先にして階段を上りたかったです。」
以上
スーダン感想へ続く